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所在地

多田洋子展
—文化庁海外派遣ポーランド研修報告展−


展覧会名
多田洋子展
会 期
20010年5月6日(木)〜5月15日(土)
時 間
11:00 〜 19:00(最終日17:00まで)
会 場
ギャルリー志門 GALERIE SIMON
東京都中央区銀座6-13-7 新保ビル3F
TEL:03-3541-2511


多田氏あいさつ、
右隣ポーランド大使館マウゴジャータ・シュミット氏、
一人おいて、美術評論家・赤津侃氏
ポーランド学者・小原雅俊氏
左から多田氏、
西松典宏氏(元NHK日曜美術館プロデューサー)、
池田龍雄氏、池田忠利氏
左から能楽師・梅若晋矢氏-奥方、シュミット氏
封印された星達(六曲一双屏風)194cm×390cm
混在(中)-194cm×194cm
油彩、キャンバス
ドローイング
Ambient--15号30万円
Sound--of--noon-15号-30万円
Ancient-Song--10号-20万円
Nocturne----10号-20万円

     
■本展開催にあたり、ヤドヴィガ・ロドヴィッチ氏よりコメントを頂いております。  

この度、ポーランドにおける文化庁海外派遣研修の成果発表として、多田洋子氏による個展が「ギャルリー志門」にて開催されますことを心から嬉しく存じます。

多田氏は、都市の持つ今日的共通性の表現を目指し、日本の潮流との比較対象としてポーランドを研究されてきました。そのテーマ「ポーランド美術の歴史的背景と精神的土壌における新潮流」は、ポーランドの複雑な歴史と現代を映し出すものです。

多田氏がポーランドで収められたご成功と友情を礎とし、今後、日本の方々がポーランド美術への関心を育まれ、日本においてポーランド美術が親しまれていく ことを願ってやみません。傑出した日本人ポーランド学者である小原雅俊先生と、傑出したポーランド人日本学者であり、元駐日ポーランド共和国大使であるヘ ンリク・リプシツ氏が多田氏のご友人でいらっしゃるのも、かけがえのない事実です。アンジェイ・ワイダ監督が、クラクフ日本美術技術センターを通じ、ポー ランドにおいて日本美術とその文化を紹介されてきたように、今後、多田氏が日本におかれましてポーランド美術と文化の発信拠点として活躍されることを期待 してやみません。

展覧会のご成功と益々のご活躍を心からお祈り申し上げます。
(ヤドヴィガ・ロドヴィッチ/駐日ポーランド共和国特命全権大使)

 
     
■現代都市の無限のイメージと存在感  

 文化庁の在外研修は画家に異文化の啓示と現代美術の衝撃力を与える。多田洋子はポーランドに行き、ファイバーアートの女性作家マグダレーナ・アバカノ ヴィッチのアトリエを訪ね、ワルシャワや古都クラクフの都市の歴史と構造を学んだ。多田が一貫して描く都市のイメージはさらにに重層的になり、表現の鮮度 が増し、視線の欲望をダイナミックに喚起する。画家は現代の都市の光と闇を追求する。大胆で繊細な筆致と抑制された色彩で、都市に蠢く現代人の苦悩や不条 理を投影させる。現代人の凝縮する時代精神である。意識の深層にこびりついた都市を構築する歴史や時間が噴出する構築性と存在感が際立つ。のびやかな進退 感と圧倒的なスケール感を醸し出す画面は、拡散と凝縮、飛翔と降下の秩序に対する緊張感に満ち、無限のイメージと想像力のダイナミズムの喚起力を得る。

多田洋子はポーランド研修で、新しい絵画力を確実に拓きつつある。
(あかつただし/美術評論家)

 
     
■絵画という名のドラマ  

多田洋子の画面には大都市がバッサリ塗り込められてある。

大都市とは、人間の諸々の矛盾、果てしない欲望のひしめく場所だ。角張った時間、灰色の騒音、刺々しい色彩、氾濫する情報。そこは便利も不便も安全も危険も正も邪も何もかも、混沌として入り交じり渦巻いているメカニックな人工の荒野である。

彼女の絵は、まさにそのような都市文明の落し子だ。画面には、全てを呑み込みまたは拒絶する暗黒の壁が大きく立ちはだかり、時にはその中で無造作に貼り付 けられた金属板が不調和音を発し、傍に紫や橙、赤や青など普段は容易に馴れ合わない色面が平然と顔を出す。おまけにしばしばそこへ「NO」とか 「STOP」とか、意味ありげな、もしくは太いゴチック体の横文字が唐突に割り込んでくる。だからそこには心地よい調和の美などはない。

あるのは力強い空間のドラマ。即ち、絵画という名の不条理劇。更に言えば、都市の背景に、二次元の舞台で繰り広げられる色と形の活劇である。

いやそれは闘いと言うべきだ。多田洋子は絵画というドラマを生きている。

絵画の壮絶な格闘。その鮮やかな成果は、必ず観る人の心を揺さぶらずにはおかないだろう。
(池田龍雄/美術家)

 
     
■私の文化庁在外研修報告  

 私は、文化庁海外派遣研修(2008年)をポーランドにて研修(テーマ/ポーランド美術の歴史的背景と精神的土壌における新潮流)して参りました。その 成果を、個展(於:ギャラリー志門)で発表させて頂きます。常々、現代都市をテーマに表現を模索して参りました。都市の多角的混在性に内在する不条理感や ミックス状況の中で蠢く人間の悲喜交々の現象を、東欧と日本の潮流を比較しながら自分の日常とクロスし、都市の持つ今日的共通性を直観的に表現したいと考 えています。その一端として、今回の個展で証明できればと思います。それは、私の表現の軌跡であり、存在証明でもあります・・。同時に、そうした刹那刹那 の私の表現や時代感が、同時代人にメッセージとして共有出来れば、元気の源を創りだす事が出来れば幸いと思っています・・。尚且つ、今回の個展を機に、ポ -ランド研修で培われた、人との出会いや交流等、友好感情や感謝の気持ちをこれからの表現活動に生かしたいと願っています。その一環として、日本の皆さん にポーランドの国の文化の高さや精神性の深さ、日本に対する友愛感情を会場で紹介したいと思います。そして、会場に小さな日・ポの交流の輪が出来れば幸い です。
(多田洋子/美術家)