2023年3月6日(月)ー3月11日(土)
会場風景
阿部アヤ 鳥垣英子 大舎久美子
①阿部アヤ 「Iridescent clouds (虹色の雲)」10F
選んだ歌・・・天飛ぶや 鳥にもがもや 都まで 送りまをして 飛び帰るもの 山上憶良 第五巻(〇八七六)
【現代語訳】天を飛ぶ鳥になりたいものです。そうしたら都までお送りして行ってまた飛び帰って来るものを。
②鳥垣英子 「行方」F10号 200,000円(税別)
選んだ歌・・・天の海に 雲の波立ち月の船 星の林に 漕ぎ隠る見ゆ 柿本朝臣人麿 巻七(一〇六八)
【現代語訳】大空の海に雲の波がたって、月の船がきらめく星の林の中に見え隠れしながら漕いで行くのが見えます。
③大舎久美子 「夕(ゆうべ)の風」10F (額76×60cm)
選んだ歌・・・わが宿の いささ群竹(むらたけ)吹く風の 音のかそけき この夕べかも 大伴家持 第十九巻(四二九一)
【現代語訳】私の家の小さな竹の茂みに吹いている風の今にも消えそうなほどかすかな(竹の葉の擦れ合う)音が聞こえる夕方であることよ。
藤倉春日 本間孝江 横山タケ子 林不一
④藤倉春日 「百合」 S10 100,000円(税別)
選んだ歌・・・夏の野の 茂みに咲ける姫百合花の 知らえぬ恋は 苦しきものぞ 大伴坂上郎女 巻八(一五〇〇)
【現代語訳】夏の野の茂みに咲いている姫百合が誰にも知られないように、相手に知られていない私の恋は、苦しく切ないものです。
⑤本間孝江 「草上」 25号 麻紙 岩絵の具 250,000円(税別)額別途
選んだ歌・・・家にあれば 笥(け)に盛る飯(いひ)を草枕 旅にしあれば 椎の葉に盛る 有間皇子 第二巻(一四二)
【現代語訳】家にいたなら食器に盛って食べるご飯を、草を枕にする旅の途中にあるので椎の葉に盛って食べているよ。
⑥横山タケ子 「初春」 20号 150,000円(税別)
選んだ歌・・・新しき 年の初めの初春の 今日降る雪の いや重(し)け吉事(よごと) 大伴家持 第二十巻(四五一六)
【現代語訳】新年を迎え、初春も迎えた今日、降る雪のように良い事もたくさん積もれよ。
⑦林 不一 「百種の言」 394×560mm 300,000円(税別)
選んだ歌・・・この花の 一枝(ひとよ)のうちは百種(ものくさ)の 言(こと)持ちかねて 折らえけらずや 藤原広嗣への娘子の返歌 巻八(一四五七)
【現代語訳】この花の一枝はそれほどの多くの(情熱的な愛の)言葉を持ちきれなくて折れてしまったのではないでしょうか。
伊達もくらん 辻村和美 松本久実 賀川明泉 甲斐めぐみ
⑧伊達もくらん 「空へ」 変形W65×H66 120,000 円(税別)
選んだ歌・・・天の原 振り放(さ)け見れば大君の 御寿(みいのち)は長く 天足らしたり 倭大后(やまとのおほきさき) 巻二(一四七)
【現代語訳】天高く仰ぎ見れば、大君のお命は長く天空に充満しておられることよ。
⑨辻村和美 「ころくとぞ鳴く」 10F 麻紙 岩絵具 300,000円(税別)
選んだ歌・・・烏(からす)とふ 大をそ鳥のまさでにも 来まさぬ君を ころくとぞ鳴く 作者不詳 第十四巻 (三五二一)
【現代語訳】カラスというあの大あわてものの鳥が、本当に来たわけではないあの方を、そら来たぞと鳴く。
⑩松本久実 「朧(おぼろ)」 M10 120,000円(税別)
選んだ歌・・・春霞 たなびく山の隔れれば 妹(いも)に逢はずて 月ぞ経にける 大伴家持 第八巻(一四六四)
【現代語訳】春の霞のかかる山を間に隔てているのであなたに逢うこともなくひと月が経ってしまいました。
⑪賀川明泉 「み山もさやに 」 S8 100,000円(税別)
選んだ歌・・・笹の葉は み山もさやにさやげども 我は妹思ふ 別れ来ぬれば 柿本人麻呂 巻二(一三三)
【現代語訳】笹の葉は、この山にさやさやと(心乱せというように)風に吹かれて音を立てているけれど、私は妻のことを一筋に思っています。別れてきてしまったので
⑫甲斐めぐみ 「Spring water」 F8号 70,000円(税別)
選んだ歌・・・水底に 生ふる玉藻のうち靡(なび)き 心は寄りて 恋ふるこのころ 作者不詳 第十一巻(二四八二)
【現代語訳】水底に生えている玉藻がうちなびくように、あなたになびいてしまい恋しくてならないこの頃です。
桒原雅美 栗田成己
⑬桒原雅美 「強くはかなきもの」 M10号 80,000円(税別)
選んだ歌・・・わが命 全けむ限り忘れめや いや日に異には 思ひますとも 笠女郎 第四巻(五九五)
【現代語訳】私の命のあるかぎり忘れることなどあるでしょうか。日に日に思いが増すことはあっても。
⑭栗田成己 「雪解け」2022年 変形45×53cm 麻紙・墨・顔料 ・金泥 34,500円
選んだ歌・・・山の際(ま)の 雪は消ずあるをみなぎらふ 川の沿ひには 萌えにけるかも 作者不詳 第十巻(一八四九)
【現代語訳】山あいの雪は消え残っているけれど、流れる川は(雪解け水で)あふれかえり、川沿いの柳は青々と芽吹いています。
DM