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所在地
柳川貴司彫刻展
展覧会名
柳川貴司彫刻展
会  期
2012年5月28日(月)~6月9日(土)
時  間
11:00~19:00(最終日17:00まで)
会  場
ギャルリー志門 GALERIE SIMON
東京都中央区銀座6-13-7 新保ビル3F
TEL:03-3541-2511 E-mail:g-simon@bu.iij4u.or.jp

展覧会はパノラマ画像でご覧になれます。
     
   
  彫刻家と素材との関係は常に危ういバランスの上にある。とりわけ木のように、それ自体、強い表現力を持つ素材を選択する場合、作家のその素材に対する親和性や抵抗感、言い換えれば自らの心理的な距離が、作品の方向性を自ずと決定するといっても過言ではない。

柳川貴司が木彫に集中するようになったのは1990年頃からであるが、木に対する意識に新たな展開が見られるようになるのは2000年代中頃、ちょうど今 回の発表作品でもある「すむところ」シリーズがスタートした時期である。それまでは人体を思わせる具象彫刻を手掛けていた柳川であったが、この頃からフォ ルムは単純化され抽象性が高まっていく。かつては彩色されていた木の表面は、手つかずのままに残され、年輪や木目が浮かび上がるようになった。

 さらに制作方法にも微妙な変化が訪れる。大型の木彫をつくる作家にとって、複数の木材を隙間なく組み合わせ一体化させてから彫るというプロセスは欠かせ ないが、この時期から柳川の意識は「一体化させる」ことよりもむしろ、木を「寄せる」という方向にシフトする。例えば2006年に発表された≪すむところ Ⅰ≫は、ヒマラヤ杉の丸太を同心円状に25本も寄せ合わせ、一つの円柱のフォルムにまとめたものであるが、本来は鑑賞者の目に留まらないように隠されるべ き木と木の境目や隙間が、ここではクローズアップされるような形で全体に組み込まれ、「寄せる」構造自体がそのまま力強い表現となっているのである。

 言うまでもなく木は一つとして同じものはない。大きさ、色はもちろんのこと、ねじり、そり、縮み、あばれなどそれぞれにクセがあり、「寄せる」といって も容易ではないのだが、柳川はそれを力技でねじ伏せるのではなく、木一つ一つの声に丁寧に耳を澄まし、その性質を見極め、隣り合う木同士を無理なく寄り添 わせる。であるからこそ、作品には個々の木の語りが豊かに内包され、われわれを”木をめぐる思策”へと導くのである。

 しかし、柳川はただ従順に木に「寄り添う」というわけではない。今回発表される≪すむところVI≫において、作家は年輪の優美な曲線をこれまで通り温存 しつつも、作品全体としては緊張感あるフォルムを生み出している。大きく開いた半球状のパーツが、やや小ぶりの円柱の上に乗せられたこの彫刻は、重さと軽 さ、集中と拡散といった相反する感覚を同時に誘発し、鑑賞者の知覚に絶えず揺さぶりをかける。この微妙な均衡状態にある彫刻の中に、素材に対する親和性を 超えてなお溢れ出るフォルムへの拘りを感じとることもできよう。柳川は現段階で、素材への「寄り添い」から 「駆け引き」へと駒を進めているようにも思える。

「すむところ」シリーズにおいてここ数年、急激な展開を見せる柳川は、「今の作品の中に次の作品の種が潜んでいる」という。作家と素材との関係性―その危ういバランスは絶えず変化し、この不可視のせめぎ合いの中にこそ次なる存在が立ち現れる。

  テキスト:森千花/東京都現代美術館 学芸員(柳川貴司展カタログより) ※転写コピー禁止
 

柳川貴司【略歴】  
1957 埼玉県に生まれる  

1980

東海大学教養学部芸術学科美術学課程卒業  

【個展】  

1999

村松画廊/東京都  

2002

ギャラリー「門」/埼玉県  

2003

村松画廊/東京都  

2006

ギャラリー「門」/埼玉県
村松画廊/東京都
 

2007

ギャルリー志門/東京都  

2008

ギャルリー志門/東京都  
2010 ギャルリー志門/東京都
GAS[GUILD-UNIT ART SPACE]/東京都
 

2011

ギャルリー志門/東京都  

【グループ展】  
1988 現代木刻フェスティバル:関市文化会館/岐阜県  

1989

1989現代九州彫刻展:石橋美術館/福岡県  

1992

第五回現代日本具象彫刻展:千葉県立美術館
「アートヒル三好ヶ丘'92彫刻フェスタ」マケット展:三好公園総合体育館/愛知県
 
1994 第六回現代日本具象彫刻展:千葉県立美術館
「アートヒル三好ヶ丘'94彫刻フェスタ」マケット展:愛知県文化センターサンアート
 

1995

「現代日本の美」展:王立デザインスコーレグラスホール/デンマーク
第二回現代アート彫刻展:小田原城常盤木門/神奈川県
 

1996

東海大学アート&デザイン展:新宿パークタワーギャラリー2/東京都
小田原アートフォーラム’96:旧小田原市立城内小学校/神奈川県
 

1997

横浜・湘南周辺の彫刻家展:ギャラリーヨコハマ/神奈川県
ふれる彫刻100展:神奈川県立生命の星・地球博物館
 

1998

東海大学アート&デザイン展'98:新宿パークタワーギャラリー1・2/東京都  

1999

彫刻との出会い『鬼』展:ギャラリースペース游/神奈川県
宮崎現代彫刻・空港展:宮崎空港ビル オアシス広場
 

2000

彫刻との出会い『癒しのいす』展:ギャラリースペース游/神奈川県
東海大学アート&デザイン企画展2000:東海大学藝術研究所/神奈川県
 

2001

彫刻との出会い『游』展:ギャラリースペース游/神奈川県
宮崎国際現代彫刻・空港展(~'08):宮崎空港ビル オアシス広場
韓・日現代彫刻交流展:ギャラリー毛利/東京都
 

2004

INTER-SPACE Art Exhibition:大邱北区文化芸術会館/韓国
日韓交流立体造形美術展:元麻布ギャラリー/東京都
 

2006

韓・日立體造形展:東亜百貨店/韓国
東京国際芸術博覧会:東京ビックサイト
 

2007

コンテンポラリー平面と立体展:ギャルリー志門/東京都
GALERIE SIMON ART FAIR:ギャルリー志門/東京都
 

2008

WORKS―9人の仕事―:平塚市美術館アトリエA/神奈川県  

2009

Art beat may :ギャルリー志門/東京都
アートコスモス展:アーチストスペース/東京都
 

2010

韓・日現代美術展 造形と表現:LUSSO GALLERY/韓国千葉ウエストビレッジ  

2011

千葉ウエストビレッジ
文化祭 現代美術展:千葉県千葉市西地域各所
 

2012

変貌する作家たち展:ギャルリー志門/東京都
日韓交流アート・コスモス展:韓国大使館文化院/東京都、釜山市海雲台文化会館/韓国