Environmental Sculpture

役立つ美術を
環境美術研究所代表・彫刻家  関根伸夫

環境づくりとは誰もが参加でき、誰もがその才能を発揮できる私たちの身の回りの生活意識だと思う。
コミュニティづくり、まちづくり、環境美化運動と、私たちは環境づくりに参加してさえいるかも知れない。
季節折おりの催事やお祭り、町内会や家の周りの清掃と、人と人とが互助しあい社会や生活を楽しく新鮮なものにしたいと願っている。これが環境づくりの第一歩なのだ。

環境づくりを職業にしている建築家、造園家、都市計画家、行政担当者はこの人々の意識をしばしば曲解している。自分達にしか出来ないと自負し、つくってやる、与えてやるという意識がそれである。多くの人々の考え、さまざまなアイデア、努力が重なって初めて豊穣な環境が現出できることを忘れては困るのである。

環境はもっと面白く夢多きものでなければならないと信ずるが故に、私は美術家として環境づくりに参画する一人である。そのため15年程前から美術仲間を集めて《環境美術研究所》をつくり、環境形成のための演出装置として、モニュメント、噴水、彫刻、壁画、広場設計などの仕事をさせてもらっている。

そして想うのは、いまだあらゆる分野が専門分化の孤独であり過ぎ、総合的に語り合い、それを引き結ぶ人が望まれているということ。
さて、ここに紹介するギャルリー志門の深井美子さんは、環境づくりのなかに彫刻や絵画作品を役立てようと志す私たち《環境美術研究所》と意思を同じくする人である。

聡明で明るく美しい彼女の魅力は、関係諸氏に微笑を与え、共に共同作業をすることの楽しみを教えてくれるだろう。

関根伸夫「水の神殿」黒御影石、白御影石、噴水装置
東京都庁シティホール(東京都)

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